万年筆に「書き癖」があるのをご存知でしょうか?
使っていくうちに、その万年筆の持つ「書き味」が変わっていくんです。
たとえば、右利きor左利きでも、ペン先の削れ具合が変わってきますし、
筆圧の強弱。ペンの持ち方ひとつで違いが出て来ます。
万年筆は、その人の書き癖がついてこそ書きやすくなるものなのです。
例えて言うなら、靴と同じようなイメージです。
歩いているうちに、片側だけかかとが削れてしまっていたり、
内側だけが削れたり、あるいは、外側だったり。
日々使っているうちに、自分の歩き癖が、靴に反映されていきますよね。
野球のグローブが使っていくうちに、自分に馴染んでくるような。
新しく建てた家が、だんだん使い勝手が良くなってくるような。
そんなしっくり来る感覚に似ているのかもしれません。
万年筆と歩みはじめて3年
万年筆を日常に使うようになって、もうすぐ3年が経とうとしています。
尊敬する「言葉のお師匠さん」から、譲り受けたのがきっかけ。
「あなたにはロイヤルブルーが似合うよ」と言われ、
それからずっとブルーのインクを愛用してきました。
愛用しているのは、
Waterman エキスパートシリーズ(M:太字)
辛い時も悲しい時も、どんな時でも、
自分の中から言葉が溢れてくる時には、
ノートを広げて、この万年筆を使って、書き綴っています。
ペンの太さがM(中字)なので、
インクの出もよく、ペンが紙の上ですべるようで、
その書き心地がとても心地よいのです。
モレスキンに書くと、ちょっとしみ込んでしまうので(笑)
A4の紙に書いたり、ツバメノートに書いたりします。
特にツバメノートは書きやすくオススメのノートのひとつ。
万年筆は使えばつかうほど、味が出る。
久しぶりにご報告をしたところ
「書き癖をペンが覚えましたね」
と、メッセージを頂きました。
無意識のうちに私の癖を覚えた、
万年筆に変化していることを改めて意識しました。
そうは言っても、
「書き癖」というのは「クセ」なので、
万年筆がどんな「クセ」を覚えているのか、
実は、分かるようで、分からないんです。
自分では当たり前のように使っているので…
マニアと呼ばれる人たちや、万年筆の専門家の方は、
自分のクセを知り、特徴を掴んだ上で、
自分自身に合わせて調整をされたり、
意図的にペン先を削る方もいらっしゃるそうです!
私の場合だと、
あまり筆圧は高い方ではないので、
ペン先が極端にまがったりはしてないんです。
前よりもなめらかさは増しているので、
おそらくペン先が柔らかくなっています。
万年筆の専門家の方から言うと、
「万年筆」の「書き癖」を通して、
その人の性格や人柄が見えることがあるそうです。
『癖』もすべて、愛すべき自分の一部
万年筆の世界では
「書き癖」こそ、その万年筆の良さであり、
「書き癖」こそ、その万年筆の魅力であり、
「書き癖」こそ、その万年筆の誇りでもあるんです。
「癖」と聞くと、
何だか悪いような、いけないような、
そんな感覚になってしまうのですが。
実は、それこそが魅力というか、
「癖」があるからこそ、味わい深さがあり、
愛おしい存在だったりするものです。
これを「自分」だけじゃなく、
「大切な方」に置き換えて考えた時に、
良いところも、悪いところも、
強みや弱み、得意、不得意、
そのすべてが魅力なんだと思うのです。
「癖」を「特徴」と言い換えることもできるかもしれません。
自分が気づかないうちにできること、
自分が一生懸命やってもできないこと。
本当に人それぞれ。
その人そのものの特徴。
魅力、強み、弱み、苦手、得意、そのすべてが、
その人の存在そのものなんですよね。
万年筆が工場で作られ手元に来た時点では同じものなのに、
使えば使うほど、同じ万年筆でも全く違うものになるんです。
私たちも同じ。
命を与えられた人間ではありますが、
身体も違えば、見た目も違っていて、性別だって違うし。
使えば使うほど、味わい深くなっていくもの。
特徴が同じだなんて、そんなのつまらないですよね。
そうなると、自分の特徴をしっかり掴んで、
しっかりメンテナンスして、
自分の良さをしっかり発揮できるようにしてあげることが大切だな〜と。
万年筆を丁寧にメンテナンスすることで、「書き癖」が魅力となっていくように。
自分自身のこともちゃんとメンテナンスして、
「自分の持つ特徴」を、
笑いながら愛せるようになると、
人生ってもっと色鮮やかに、
そして豊かになっていくのだと思うのです。
万年筆を使うようになり「癖」の認識が前と変わりました。
もちろん人に迷惑かけるようなのはいけないですし、
このままでいいや〜という投げやりなものではなく、
人生において、
自分を磨き上げ、魅力的な人間であるために、
自分自身の様々な「今すでにあるもの(特徴)」に光を当て、
それらを認識し、大切にしてあげることが必要不可欠になるはずです。
もっと上手く表現したいのですが、
今はまだ言葉がまとまらないので、
今日はここで終えておこうと思います。
伝えたかったのは、
この世に唯一無二の存在である貴方自身を、
もっと理解して、大切にしてあげましょう。ということです。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。